「本日午前4時13分、エリアT-47の映像です。その後近郊で異常な局地地震が観測されており怪獣は地下を移動している可能性が高いと考えられます」
「大地、至急この怪獣を分析してくれ。各隊員は移動している震源の情報を収集!」
「「「「了解!」」」」
そんな時に神木隊長宛に速達が届く。それは娘からの結婚式の招待状だった。
娘の裕美とは訳あって疎遠になっていたので躊躇う神木。
「何かあったんですか? 裕美ちゃんが? おめでとうございます(^▽^) …明日じゃないですか結婚式。何も聞いてなかったんですか?…じゃあ準備は裕美ちゃん1人で」
「まあ、そうなのかな」
「会いに行ったらどうですか? 結婚式の前の日って家族で過ごすものですよ」
「あいつ、俺に会いたがらないだろう」
「だったら何故こんな事を? 裕美ちゃんだって会いたがってるんです」
「何持ってけばいいのかなぁ?」
「えっ?」「えー…手ぶらでいいのかな」
「大丈夫。一緒にご飯でも食べてきてください」
「どんな情報でも何かあったらすぐに連絡してくれ」
「了解」
「このタイプGの怪獣は古代怪獣ゴメスだと思われます」
「どんな兆候も見逃さないように」
「「「「了解!」」」」
「でも珍しいですよね。こんな時に隊長が外出するなんて」
「確かに。いっつもここに住んでるんじゃないかってぐらい居るのにね」
「何かあったんですか?」
「明日、娘さんの結婚式なのよ」
「えっ!?」「えっ!?」「えっ!? えー…そんな大っきい娘さんいたんスか(°ロ°)」
「全然知らなかった」「えぇへへへっ」
「何で隠してたんスかね?」
「別に隠してた訳じゃないと思う。ただ…話したくても話す事はなかったんじゃないかな」
「どういう…事ですか?」
「娘さんとね…もうずっと口も聞いてないみたいなの」
「普通休むもんじゃないのか? 仕事」
「そうですか?」「準備は?」
「向こうのご両親が全部。本当いい人達なの」
「それで済む事か?」「済むようにしました」
「どんな奴なんだ?」
「家族を大事にしてくれる人」
昔、相次ぐ怪獣出現に出動する事が多く、病床の妻や裕美と一緒に過ごす時間を作る事ができなかった神木。
家族を守る為に戦っているつもりがそれが逆に娘に寂しい思いをさせてしまっていたのだ。以来、裕美とは離れて暮らすようになってしまった。
「行くね。仕事中だから」
「裕美! 今日午前4時13分、富山の定点カメラで怪獣の出現を確認したんだ。今は地下に潜伏しているがいつ何時…」
「お父さんが行かないと沢山の人達が危ない目に遭うんでしょう。ゴメンね、あたし解ってるの。家族よりも優先するべき仕事だって。頭では解ってるんだけど…でも…実際にそれをされると辛いんだよね。ホントあたしの事は気にしなくていいから」
『ゴメスがエリアS2-6に出現しました』
「了解。全員出撃体制は整ってるか?」
『現在各隊員が出撃準備中』
「完了次第、出撃。すぐ戻る」
「すまなかった。状況は?」
「頑丈な奴です! 攻撃が効きません!」
「喰らえぇぇ!!」
「一時撤退! 防衛線を避けて体制を立て直せ!」
「エックス、ユナイトだ!」
「よし、いくぞぉ!」
『エックス、ユナイテッド』
「なんて力だ…ベムスターアーマーだ!」
「一気にいくぞ!」
しかしあと一歩の所で地下に逃げられてしまう。
「現在エリアS2-9に停止中です」
「地表からの生体反応は微弱です」
「了解」「かなりダメージを受けた筈だから当分動けないんじゃないかな」
「油断は禁物だ。交代で監視に当たれ」
「「「「了解」」」」
大地は娘の結婚式に行くべきかゴメス迎撃を優先するか悩む神木を心配していた。
「隊長」「ん?」
「俺、理解できません。隊長と娘さんの事、近くにいるのに何年も会わないなんて…。行ってください、結婚式」
「そうですよ。娘さんの花嫁姿、見に行ってあげてください」
「俺達が見張ってますから」
「私達に任せてください」
隊員達に諭され結婚式に行く決意をした神木だが、空に何か異変を感じていた。
「お願いゴメス。このまま大人しくしてて」
「隊長!?」「隊長、どうして!?」
「関東エリア上空の電離層に異常がないかサーチしろ!」
「了解」「私が対処しますから」
「異変が起きている。放っていけるか」
「裕美ちゃんの父親は隊長だけなんですよ!」
神木の予測通り、空からダークサンダーエナジーが降り注ぎ、ゴメスを凶暴化させてしまう。
「エリアK-3にゴメスが再び現れました!」
「都市防衛指令発令! 今度こそ逃がすな!」
「「「「了解!!」」」」
「結婚式まであと1時間!」
「解ってる!」
「絶対間に合わせるぞぉぉ!!」
神木を結婚式に行かせる為、必死にゴメス迎撃に当たる隊員達。
「エックス、今度こそあいつを止めるぞ!」
「よぉし、いくぞ! 大地、捕まるなよ。力仕事じゃ敵わない」
「アスナ、サイバーゴモラでエックスを援護しろ!」
「了解!」「俺がカバーする」
ダークサンダーエナジーによりパワーアップしたゴメスの熱線が周りのビルを破壊する。
「アスナ! ワタル!」
「大丈夫か!?」「うん…」
仕事のせいで妻を看取る事さえ出来なかったあの日。そこには裕美の心を表すかのように泣いている二つの顔の絵が置いてあった。
またあの時と同じ事を繰り返すのか…。
「すまないがここは任せる」
来るかどうか分からない父を待ち続ける裕美。式の時間は刻一刻と迫っていた。
苦戦するエックスをサイバーゴモラが救う。
「サイバーゴモラ!?」
神木自らがサイバーゴモラを使役して前線に出る。
神木のサイバーゴモラとゴメスのバトルと同時に開かれる結婚式。
1人バージンロードを歩く娘とサイバーゴモラと共にゴメスと戦う父。
お互いに自分の成すべき事を全うしようとしていた。
「「エクシードエーックス!!」」
共闘するエクシードエックスと神木のサイバーゴモラ。
「「エクシードエクスラッシュ!!」」
「うあああああぁぁぁぁっ!!」
「サイバァー超震動波ァァァ!!」
「「ザナディウム光線!!」」
急いで教会に向かったが既に式は終わっていた。また間に合わなかった・・・。
後悔の念に押し潰されそうになった神木の傍らに裕美がいた。
例え間に合わなくとも絶対に来てくれると信じて待っていたのだ。父と一緒にバージンロードを歩き自分の門出を祝ってもらいたい為に。
「お父さん…」
親子二人だけの結婚式が始まる。
「「大地の怪獣ラボ」」
「今回の怪獣はこれだ」
『ゴメス解析中』
「ゴメスは怪力を持つ古代怪獣。ダークサンダーエナジーでパワーアップして強力な光線を吐けるようになってしまったんだ」
「そしてこれがゴメスのサイバーカードだ。より恐ろしい強敵となったゴメス。神木隊長がリアライズさせたサイバーゴモラと力を合わせて、ようやく倒す事ができたんだ」
「次回も」「「観てくれよな!」」
「頻発する怪獣災害。悪質宇宙人による犯罪ネットワーク。そんな脅威から人々を守るXioの裏側にカメラが独占初潜入!
これを観ればXioの全てが解る!
次回ウルトラマンX『激撮!Xio密着24時』!!」